
「海賊とよばれた男」 百田尚樹 著
爽やか書評がモットー(笑)の読書日記ですがこれは…
多くの方々が絶賛する本書なので、読んだ方の気分を害さないためにも絶賛しようか…などと思いましたが
全体主義はいかん!
と思い直し、辛口書評をすることにしました。
スミマセン、興味ない方や気分を害された方はどんどんスルーしてくださいネ。
本書にいまいち入り込めません(*_*)
人物像に深みがない。
国岡商店の社員が何人か登場しますが皆、同一人物かのように会社に忠実忠誠、鐵造の言葉に涙を流し、過酷な労働も笑顔でこなす。
周囲の人物も一度鐵造に会うと口を揃えて絶賛し、契約やら融資やら援助やらがサラッと通る。
当の国岡鐵造も熱い心意気一辺倒。
上巻だけでも国岡商店は何度も資金繰りの悪化、倒産危機に直面しますが、その都度国岡の熱い言葉に皆が心を打たれあっさり解決。
なんかこれって経営者のエゴを描いてるかのよう…
一人目の奥さんとの離婚も奥さんの心中をほとんど描くこともなく鐵造の心もあっさりしたもの。
「離縁したく存じます」から「ありがとう」までで文庫本のページで3Pほど。
(そもそもここで「ありがとう」ってエゴの何ものでもないような…)
少しは経営者とはまた違う面を描いてもいいようなものだがと思ったのはボクだけでしょうか…
そこを描くことによってさらに人物像に深みがでてくるように思うのですが…
その離婚後には昭和金融恐慌でまたもや国岡商店は倒産の危機にさらされますが、
それも銀行頭取が鐵造に一回会っただけで融資回収の撤回どころか融資の枠を拡げることを即決。
頭取と面談してから決断まで13行…
もうこれは小説というより脚本???
人物や背景をえぐるように表現し描かれた小説が好きなボクにとって、本書はどうだ凄いだろと言わんばかりの押し付けがましい文章が脚本のように羅列されてるのはどうにも合わない…
百田氏の文章はボクにはどうも合わないようです…
スミマセン…
「お前に下巻を読む資格はない!」
「酷評するならお前小説書いてみろ!」
などという声が聞こえてきそうですが
唯一この時代の背景を知ることができるので頑張って下巻も読もうと思います。
スミマセン…酷評で……
頭の悪いボクがいけないのです…

ただ!
このような話題性のある本をきっかけに多くの人が読書が好きになればいいなと思いました。。。
注意 : これはモデルの出光興産と出光佐三氏を酷評してるのでなく、本書の小説としての出来を酷評してるものです。個人的には同じ題材を違う作家さんが描いた小説が読みたいと思ってます。
百田ファンの方....本当にスミマセン....