
「翔ぶが如く 2」 司馬遼太郎 著
司馬作品の中でも難解と言われてる「翔ぶが如く」
「竜馬がゆく」「坂の上の雲」と比べ物にならないくらい、人物一人ひとりをかなり深く掘り下げています。
西郷、大久保はもちろん木戸孝允、伊藤博文、桐野利秋、岩倉具視、川路利良などなど挙げればキリがないのですが、一人ずつ丁寧に深く深く掘り下げてるうえに、その背景までこと細かく描写してます。
そのあまりに深く掘り下げてるゆえに、他の作品を超越した難解さを感じます。
逆に言うとこれぞ司馬の真骨頂と言えるのではと勝手に思ってます。
まだそんなに司馬作品を読んでませんが......
さらにこの作品、
征韓論とは何かを知ってないとちんぷんかんぷんだろうし、幕末の西郷がいかに倒幕維新の最大の功労者であり、さらに薩摩だけでなく日本の大衆に圧倒的支持を受けていたかを知らないと、あの西郷が維新後に何故これだけ腑抜けになってしまったかが読み取れない気がします。
ボクも実際自分が本当にこの作品を読み取れてるかあまり自信がありませんので、今回10巻読み終えたら3年後くらいにもう一度読もうと思います。
さて2巻ですが
西郷の主君でもある亡き島津斉彬の思想を引き継ぎ、たどり着いたのが征韓論。
自分の死場所と定める程の強い覚悟を持ち挑みます。
しかし韓国と戦争をする気は全くないので西郷からすると征韓ではなく遣韓なのですが・・・
しかし西郷の周りの人間がそれを許しません。
桐野利秋。
西郷が死んだとなればこの男が大隊を率いて戦争を始めるでしょう。
桐野は無学でしたが義が厚く、陸軍将としての器量を持っていましたが、そに少しでも知があれば西郷の運命もまた違ったのではと感じました。
対する反征韓論の大久保。
征韓論には反対でしたが西郷とは全く争う気はありませんでした。
しかしそこへ策略家伊藤博文が奔走します。
伊藤は水面下で岩倉、三条、木戸、大隈を反征韓論者としてまとめ上げて、大久保を征韓論争の表舞台に担ぎ上げます。
かつての盟友であり親友であった西郷と大久保の激突は本人達の意とは反し、周囲の気運がそのような運命へと導いていったのだと感じました。
3巻へつづく......