読書日記その162 「日露戦争史 1」

「日露戦争史 1」 半藤一利 著
「坂の上の雲」は小説なので司馬遼太郎氏の視点から劇的な誇張で描かれてます。
そこでもう少し日露戦争を史実的に書かれたものが読みたくなってこの本を読みました。
開戦前のロシアの日本への威嚇の陰にはドイツの存在があったようです。
本来日本もロシアも戦争を望んでませんでした。
しかし経済的に台頭してきた日本に対してロシアが不安を感じてることをドイツが利用して、ドイツや他ヨーロッパ各国の利益のためにロシアを煽って戦争へ導いたようです。
そんなロシアは威嚇すれば日本は退くだろうと考えます。
しかし日本は維新を遂げて三十余年、欧米に追いつき追い越せと突き進み、その間ヨーロッパ列強のいわれなき差別、屈辱、抑圧、横暴な振る舞いに耐えながら「いつかみていろ」と心の奥深くに抱く痛憤がありました。
多くのマスコミが戦争気分を煽り、それが「ロシア撃つべし」という世論となり沸点に達します。
ジャーナリズムが世論を形成しますが、その世論が大きな勢いをもつと今度はジャーナリズムが世論に引き回されます。
つまりこの時点で反戦争論と唱えると孤立してしまい国民から背を向けられます。
「国民の声」ということでジャーナリズムも政治も軍も影響されていきます。
そして威嚇するロシアと戦争論が沸点に達した日本は戦争へ突き進みます。
しかし昭和日本と違うのは、明治日本は非常に冷静だったということです。
伊藤博文、山県有明らは何度となく反戦論を唱え、何度となく議論し、開戦に至るまでにいかに周到にそして慎重に政略と戦略を考え抜いたか。
それに比べ昭和日本は「男なら清水の舞台から眼をつむって飛び降りることが大事だ」などと大言壮語を言い放ち、無謀な決断に酔いしれて戦争に突入したようです。
伊藤はアメリカに両国の間に入って調停してもらうことを考えます。
戦争を勇ましく始めるだけでなく、いかにして終結させるか。
伊藤、山県だけでなく児玉源太郎、山本権兵衛にも最悪のシナリオを考えたうえでの戦争決意でした。
これが薄氷を踏むようにして国家のこと、国民のことを考え抜く、いわば国家を運営する唯一の良心で、それこそが愛国心であるということです。
このように1は開戦前のことが詳しく書かれてます。
時折、日露戦争と太平洋戦争との違いやちょっとした豆知識的なことが記されているのも面白かったです。
長くなってスミマセン....

しかもケーキ屋らしからぬ内容でスミマセン

本当にこんな内容のブログでいいのかと思ったりするのですが...
まあそれでも観てくれる方が意外と多くいるのでこのまま懲りずに続けようと思います...
ははは.......
